EXHIBITION|interiorlifestyle Tokyo2025 インテリアライフスタイル2025
HALL|東京ビッグサイト
DATE|2025.06.18-20
SIZE|3m×3m×2.7m(1小間)
CLIENT|ao. 株式会社 様

商品数が多くても整然と美しく見せる余白の力

高知県南国市を拠点とするハーバル・フレグランス・ブランド、「ao.(アオ)」。100%天然成分由来ですべてハンドメイドと、素材にも製法にもこだわるオーダーメイド商品対応のメーカーです。ao.の社長は長年、漢方製薬会社や和漢スキンケアブランドにおいて製品開発に携わってきました。ギフト・ショー春 2024での初出展以来、スーパーペンギンではao.のブースデザインを定期的に手がけています。

今回の小間位置は出入口からやや離れた会場右上の位置、「アクセント」に分類されるエリアでの出展。最小ブース(1小間)ながら、角小間という恵まれた場所でした。角小間のブースであれば、来場客の往来が見込める通路を2本確保でき、視認性も向上します。こうしたメリットを生かすべく、ブースのデザインを検討しました。

香りがテーマの商品が100点弱

今回の陳列商品は香りがテーマでした。入浴剤、アロマオイル、キャンドル、ディフューザー、ルームミスト、ハーブティーなど、100点近くの商品が並びます。ao.の場合、例えば入浴剤一つをとってもオイル状、ティーバッグ状等、様々な形状で商品開発しています。本展示会でも多種多様なサンプルを展示することで、先方の希望に幅広く対応できることをアピールできます。スーパーペンギンとしては、こうした素材や形状の異なる多数の商品を、いかにスッキリと美しく見せるかが腕の見せ所でした。

白を基調とした外観

外観は、白を基調とした非常にシンプルな佇まい。商品は壁面と展示台の両方に陳列しました。白色を背景にすると商品を美しく引き立てることができます。

L字型アクリルが大活躍

壁面に商品を並べるにあたっては、L字型アクリルが大活躍。壁面にビス止めして、棚として利用しました。一つの棚に対して一つの商品を置き、合計48個のアイテムを壁面に陳列。このように陳列することで、商品やパッケージが際立ち、ao.の世界観を空間全体に広げることができました。

余白のコントロールが陳列のポイント

大量の商品を壁面に並べても、雑然とした印象はありません。その理由のひとつは、商品やパッケージ自体のクオリティの高さ。加えて、一つひとつを丁寧に見せることで余白が生まれ、統一感とキッチリ感が出ています。一見、何気なく並べているように見えても、実は色や形状を考慮し、商品の並び順を緻密に計算。そして欠かせないのが「余白」の存在です。

現場でカッティングシートの位置を細かく調整

カッティングシートは、設営日に実際の見え方を確認しながら会場で最終決定します。展示台の端や陳列商品の高さなどに合わせて、ロゴやキャッチコピーの位置の微調整を行いました。ロゴやキャッチコピーは壁面で最も目立つ要素です。視認性だけでなく、印象の観点からも、余白の取り方には細心の注意を払います。壁面の両端の最上部にはロゴマークを配し、遠くからでも目立つようにしました。その下には「高知県」という黒背景の白抜き文字。その後、「ハンドメイド」、「小ロット対応」という文字が続きます。キャッチコピーが視界に入ることで、来場者がao.の特徴を瞬時に理解できるようにしています。

展示台の上もすっきりとディスプレイ

通路の際に沿って配置されたのは、約150cmx約170cmの大きな展示台。この台の上に木目調の経師紙を貼った板を4枚並べ、その上に商品を種類別に置くことにしました。これも商品をスッキリと統一感をもって見せる工夫の一つです。木目調にすると、ナチュラルで柔らかい印象になります。また、展示台の引き出しにも一部商品を置きました。「何が入っているのだろう?」とつい覗き込みたくなる仕掛けです。

スーパーペンギン定番の大きな展示台には3種類のスペースが

この大きな展示台は、スーパーペンギン定番のおすすめ展示台パターンです。実はこの展示台には、3種類のスペースが備わっています。1つ目はオープン収納。名刺やパンフレットなど文具を入れるのに便利なスペースが確保されています。2つ目は収納。前述のものに加えて出展社の荷物などを保管するスペースです。3つ目は引き出し。メイン展示していないその他の商品や商談に使えるアイテムを置いておくのに便利なスペースです。

香りの演出

ao.は香りをテーマとした商品を扱っているため、会期中はブースの空間全体をほのかな香りで満たす仕掛けも。ブースの前に来ると来場者がナチュラルな芳香に癒されるというサプライズがありました。また、原材料を入れたシャーレやディフューザー等のテスターを用意し、実際に来場者が香りを体験しながら商品に触れられるようにしました。

抑えめの照明が特徴のインテリアライフスタイル展

通常、当社のブースは明るいですが、インテリアライフスタイル展の時は少し明るさを抑えています。今回は事務局手配の照明を使用しました。会場全体の照明のトーンが他の展示会に比べて抑えめであることは、インテリアライフスタイル展の特徴の一つで、海外の展示会のような雰囲気のあるイメージを醸し出しています。

角に立つと商談しやすい

商談は対面よりも横並びで、特に「直角ポジション」で行うのがおすすめです。相手と90度の位置関係で話をすると、さりげなく相手に寄り添える上、視線を合わさなくてもよいので、自然な形で会話を進めることができます。また、出展社は他の来場者も相手にしやすく、状況によっては一緒に説明することも可能になります。

人だかりのできるデザイン空間

会期中、常に人だかりのできる空間であった、ao.のブース。大きな展示台が通路際に設置されていた点や角小間の解放感も相まって、気軽に商品に近づける雰囲気がありました。人々がブースを取り囲んでいると、何事かとさらに人がブースに集まってくるものです。ao.のブースでは、人が人を呼び込む好循環が生まれていました。ao.の代表は休憩を取る暇もないほどの忙しさでしたが、確かな手ごたえを感じておられました。スーパーペンギンは次回のギフト・ショー秋2025でもお手伝いする予定です。

本記事の監修者について

竹村 尚久
竹村 尚久SUPER PENGUIN株式会社代表取締役|展示会プロデューサー/デザイナー
兵庫県姫路市生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。一級建築士。1996年4月・五洋建設株式会社入社。2005年6月・インテリアデザイン事務所ディーコンセプトデザインオフィス(現・SUPER PENGUIN株式会社)設立。2006年5月・東京インテリアプランナー協会 理事就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2008年5月・東京インテリアプランナー協会 副会長就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2012年9月東京造形大学 非常勤講師(~2018)

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