空間を設計する、といった場合。

その空間の用途が「住宅」か「店舗」かでその設計のスタンスは変わります。

例えば、住宅がどちらかと言えば「住まい手」の方の「住まい方」を目標にデザインを考えるのに対し、店舗の場合、店舗の使い勝手ももちろん重要ですが、それ以上に「売れる店舗かどうか」が重要な指標になってきます。

商売を目的としている以上、デザインした空間が、お客様を引き付けるのかどうか、商品を買いたくなる(注文したくなる)かどうか、という「効果」がデザイナー(設計者)には求められるわけです。

その点において、住宅か店舗かで設計者・デザイナーには、スタンスの違いが必要になってくるのです。

さて。

その結果が求められる「店舗」より、展示会のブースデザインというものはさらにシビアな「結果を求められる空間デザイン」になります。

店舗が数年からそれ以上という長いスパンで考えることに対して、展示会はわずか3日。その3日間で結果が出せる空間デザインかどうか、というのはかなりシビアな要素になります。

1つの展示会にはかなり多くの出展社が出られるので、「出展すればお客様が来てくれる」という甘い状況ではありません。何百社という出展者がいる会場を来場者が回るとき、数時間で回れるブースには限りがあるため、出展社はより効率的に出展社に対して、自社の特徴を伝えなければいけない。その機能が展示会ブースには求められるわけです。

このように、展示会のブースにはデザイン以上にまずは「結果」が重要。
短期間の会期でしかも多額の金額を必要とする観点からも、どんなにデザインがよくても結果を出せなければ、それはデザイナーとして失格です。
その意味で、ブースデザインする際の思考順序は、
1.集客を成功させるためのロジックの反映と実現
2.その企業のイメージ・印象を適切に伝えるためのデザイン性の実現
3.自身が実現したい「空間デザイン的な工夫」
 
上記3点について、1→3の順の優先順位を必ず守るようにして考えなければいけません。 
デザイナーと肩書がつく立場の人が陥りがちな間違いが上記の順番が、3のみに終始すること。3の実現にこだわるあまりに、2はともかく1をおろそかにする、軽視してしまう、という場合。
出展者の方が限られたご予算を割く以上、そうなってはいけない、と自分の中で念じながらデザインを検討していく必要があります。
このような意味で「空間デザイン」という仕事の中でも、展示会ブースデザインという仕事は本来とても難しく責任の大きい仕事だと言えます。
今の社会には展示会ブースをデザインする方は数多くいますが、このように出展者目線になってしっかり考えてくれるデザイナーを選んでいただきたいと思います。また、当社もこの文章に恥じないよう、しっかりと出展者の成果を考えてデザインを行いたいと思います。

著者プロフィール

竹村 尚久
竹村 尚久SUPER PENGUIN株式会社代表取締役|展示会プロデューサー/デザイナー
兵庫県姫路市生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。一級建築士。1996年4月・五洋建設株式会社入社。2005年6月・インテリアデザイン事務所ディーコンセプトデザインオフィス(現・SUPER PENGUIN株式会社)設立。2006年5月・東京インテリアプランナー協会 理事就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2008年5月・東京インテリアプランナー協会 副会長就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2012年9月東京造形大学 非常勤講師(~2018)

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ペンギンリポートは、当社が日頃業務を行った際に気が付いたことをまとめて発信いたします。今回は現在のコロナ下で当社が携わったブースの中で、試したことや気が付いたことなどを取りまとめ、今後どのように展示会を検討していけば業務がうまくいくのか、事例を交えながらお話しいたします。