EXHIBITION|鉄道技術展|Mass-Trans Innovation Japan

SITE|幕張メッセ

SIZE|6.0m×6.0m(4小間)

ALSTOMはフランスの鉄道車両メーカー。日本の展示会出展に際しては日本在住の担当者が行うものの基本的なブースデザインの手動は本国であるフランスにおいて行われます。

このALSTOMにおいても展示会出展時におけるブースデザインの規定が細かく定められており、基本的にはその規定に則ってブースのデザインを行うことになります。

 

海外企業の出展ブースデザインのポイントとは?

さて、今回は海外の企業が日本で開催される展示会に出展される場合の注意点について。

海外展開を積極的に行う海外企業には、展示会ブースにおいて共通仕様書を制作し、細かな規定をしているケースが多くあります。日本の設営会社はその規定に則ってブースを構築するわけです。
ですが、もしその企業が本気で集客を望むのであれば、また日本における展示会で出展成功をしたいのであれば、その共通仕様に則ってデザインを行うことは慎重に考えるべきです。

例えば、欧州では、展示会ブースは「床上げ」することが多くあります。ブース全体の床を10センチ程度上げるのです。
実際、このALSTOMさんでもその要望がありました。
ですが、当社の場合、「床上げ」はしないことを提案します。なぜなら日本と欧州では文化が違います。
家に入るのに靴を脱ぐ習慣がある日本では、床が上がった場所に入ることは無意識に躊躇してしまうのです。
つまり、日本の展示会において「床上げ」を行うと目に見えてブースの集客は減ってきます。
これは数値で図ったものではありませんが、当社の経験上、床に段差を設ける場合、明らかにその場所に来場者が進む人数が減っているのです。

また、海外企業の場合に多い要望は、商談席をとにかく多く設置してコミュニケーションの場を設ける、というもの。
これも要注意。海外の展示会は日中からビール等アルコールを飲みながら気軽に商談する、という光景を多く見られます。
しかし、日本ではそのようなことはほとんどありません。

もし、海外のように、商談席を多く置くブースにすると、結果的に全く集まらないブースとなってしまうのです。
日本においては、来場者は簡単には座ってくれません。商談の段階が進んで、契約しよう、というような状況になって初めて座ってくれる、そう思っておくぐらいがちょうどよい、と言えます。

また、以前別の出展企業様ですが、こんなことがありました。

「海外の展示会では日中からお酒を飲みながら商談を行っている、当社も同じようにしたい」とのお客様の要望があり、ブース内でビールを提供する、ということがあったのです。
3日間の展示会期間の中で、実際に何杯のビールが出たと思いますか?

・・・たったの5杯です。

どの来場者も平日の日中なので「仕事中です」と断られたそうです。

これが良いか悪いかではなく、これが日本の展示会の特徴です。
この時、残ったほとんどのビールは結局廃棄することとなりました。「ビールを提供したい」と出展者の方がおっしゃった時、当社は「おそらくほとんどの方が飲まないと思いますよ」とお伝えしたのですが、どうしても、とのことで実行したのですが、やはりその通りになりました。

海外企業が日本の展示会で出展する際に気を付けなければいけない最重要なポイントは「日本人はシャイである」ということ。
これは良い悪いではなく、民族性なのです。集団の規範を重んじる集団主義といわれる民族性。
海外企業にブースの仕様書があったとしても、これらのことを踏まえた上でブースの計画をしないと結果的に集客に失敗してしまうのです。

では、具体的にどこに気を付ければよいのでしょうか。

まず、床上げはNGです。

そして、当社が日頃展示会ブース集客セミナーでお伝えしている通り、「通路際」に来場者が気になるような商品等を置くようにします。
この「通路際の活用」がもっとも重要なところです。来場者がブースに入ることなく、通路から見ることができる何か、手に取れる何かをもうけること、ブースレイアウトではこれが重要なのです。
しかし、海外企業のブース仕様書の多くが、このことを気にかけているようにはなっていません。

今回のALSTOMのブースでは、鉄道車両の模型を通路際に設置し、通路を歩く来場者が気軽に見ることができるようにしました。
商談席はブースの内部に設けます。テーブル高さが低い(H700)の商談席でもよいのですが、ハイテーブル(H1000)にして、そのテーブルの周囲で気軽に会話する、という方法だと来場者は気軽に立ち寄ってくれます。

また、海外、特に欧州の展示会場は基本的に会場の明るさを抑えて、ブース内についても部分的に明るくする、という照明手法をとりますが、日本の展示会の場合、全体的に明るくした方が集客効果があります。
このALSTOMブースでも、照明器具にはLED投光器という展示会で使用される照明器具のうち最もパワーのあるものを使用しています。

企業としての見え方として、ブランディングの一環として共通仕様を設けること自体はもちろん正しいことなのですが、その要素を踏まえつつ、来場者である日本人の特徴に合わせてカスタマイズすること。これが海外企業が日本における展示会出展を成功させるための重要なポイントとなります。

 

著者プロフィール

竹村 尚久
竹村 尚久SUPER PENGUIN株式会社代表取締役|展示会プロデューサー/デザイナー
兵庫県姫路市生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。一級建築士。1996年4月・五洋建設株式会社入社。2005年6月・インテリアデザイン事務所ディーコンセプトデザインオフィス(現・SUPER PENGUIN株式会社)設立。2006年5月・東京インテリアプランナー協会 理事就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2008年5月・東京インテリアプランナー協会 副会長就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2012年9月東京造形大学 非常勤講師(~2018)

2021.9.16@品川 ブースデザインセミナーご予約受付中

PENGUIN REPORT/ 展示会「業界関係者向け」セミナー

ペンギンリポートは、当社が日頃業務を行った際に気が付いたことをまとめて発信いたします。今回は現在のコロナ下で当社が携わったブースの中で、試したことや気が付いたことなどを取りまとめ、今後どのように展示会を検討していけば業務がうまくいくのか、事例を交えながらお話しいたします。