展示会に参加された方、または出展したことある方、こう思ったことはないでしょうか。

人が途切れることがない展示ブースと、全く人が寄り付かない展示ブース。

この差は、どこからくるのかご存知でしょうか。

展示会出展において、集客は成功への鍵です。自社ブースへの集客なしで、展示会成功はありえません。

今回は、展示会の成功に欠かせない自社ブースへの集客を、5つのポイントに絞ってご説明します。

1. 徹底した来場者目線で展示ブースが作られているか

展示ブースを作る上で必要なものとして、まず必要なのが「徹底した来場者目線」になっているかどうかです。

来場者が展示会で何を考え、どのように行動するかを想像すること。それが展示会ブースのデザインや集客を考える基本となります。

これまで数多くの展示ブースを作りあげ、どう来場者が行動するかを観察してきました。そこで掴んだ一つの行動パターンがあります。

「来場者は、話しかけられることを避ける傾向にあり、ブースの前を歩く時間はわずか数秒である」

例えば、A1サイズのパネルをブースに並べたとき、大抵の出店者は出来るだけ多くの情報を詰め込みたくなるでしょう。

しかし、来場者がその前を通り過ぎるのは3秒〜5秒なのです。

ブースデザイン

数秒で印象に残るブースデザイン

もしパネルの前で立ち止まってくれたとしても20秒ほど。その短い時間の中で受け取ってもらえる情報量というのが、かなり限られているというのがわかると思います。

集客できる展示ブースとは、来場者の心理を形にしたものでなければありません。空間デザインが心理学と言われるように、展示会ブースのデザインも同じ。

来場者にどんな印象を持たせ、どんな行動をしてほしいのか、それを展示ブース のデザインや構造に反映させることが、とても重要なのです。

2. 出展者のモチベーションはどうか

展示会を担当する方のモチベーションも、展示ブースへの集客力に大きく左右します。

「絶対に成功させたい」という強い意思を持っているかどうかは、担当者の態度をみていれば明らかです。中には、「会社から言われたから仕方なく」というモチベーションの明らかに低い担当者もいらっしゃいます。

後者のようなネガティブな姿勢は、展示会の成功を妨げる原因になっていることも多く、前項の来場者目線の徹底には、担当者自身が必ず成功に導くという姿勢が欠かせません。

また、担当者がどんなに強い意思を固めていても、会社や上司にその意思が薄い場合もあります。そうすると、出展ブースのコンセプトがブレてしまうということも多々あるでしょう。

展示会に出展すると決めた社長や担当者など、出展をリードする人が「成功させたい」という強く明確な意思を持ち、部下やスタッフ、チーム全員に伝え続けることが重要なのです。

3. 会場で自社ブースはどう見えるか

出展する小間位置が決定したら、まずは小間位置図を俯瞰して眺めてみましょう。

展示会ブースデザイン

不利な小間位置でどう印象的に演出するか

大手ブースはどこにあるのか、人がどの方向から流れてくるのか、あらゆる位置から自分のブースがどのように見えるかを分析します。

実は、小間位置とブースデザインは深い関係があるのです。展示会場は広く、自社の出展小間の位置を把握することで効果的な演出が可能になります。

例えば、同じ2小間のスペースだっとしても、入り口付近と通路の途中。キャッチコピーを書く位置が大きく変わることは、容易に想像できると思います。

4. キャッチコピーは練られているか

何をPRしたいかを明確にすること、これも出展を成功させる鍵です。

遠くからでも目を引くキャッチコピー

会期中にブースの前に立っている状況を想像してみてください。来場者に対して”1分間”で自社商品・サービスを説明できるでしょうか。

弊社では、お客様に対して「1分間説明」を早い段階で準備することを勧めています。

この1分間説明を作る過程において、出展で何を伝えたいかを整理することができます。この中に含まれる言葉こそが自分の伝えたい言葉の集約であり、展示ブースに表示するキャッチコピーのヒントになります。

ブースのデザインに組み込む表記は、会社名よりも優れたキャッチコピーにした方が良いのは言うまでもありません。

ブランド名が確立された大企業であれば会社名を表記することで十分な効果を得られます。しかし、そうでない会社は会社名をブース上部や全面に押し出しても、そう集客は見込めないでしょう。

自社がどんな商材で何を扱っているか、また出展品の特徴について熟知し、どのような表現が出展物にふさわしいかを理解した上で、わかりやすく表記することが重要なのです。

5. 照明位置はきちんと考えられているか

照明についてもきちんと考えられているかも重要なポイントです。

現在、ブースの照明は商品を置いている壁の真上に器具を取り付けて、壁下にある展示物を照らす方法を採用している方が多いです。

しかし、この照明方法は壁の上部分しか照らされず、肝心の商品や壁の下部分が暗くなってしまいます。そうすると、来場者目線では展示商品に影ができたり、展示ブース全体も暗く狭い印象を与えてしまうことがあります。

そこで弊社では、手前のパラペットと呼ばれるブース前方上部の梁から壁を照らす照明方法を採用しています。

展示ブースの照明例

照明で展示ブースを明るく広く演出

来場者と同じ目線で照明を当ててやることで、商品の印象も良くなります。また壁を明るくすると空間全体が広く明るく見える効果もあります。

他にも、白い光を採用するか、黄色い光を採用するか。強い光にするか、弱い光にするかなど、建築やインテリデザインにも通じる空間デザインの専門知識が必要な分野ではありますが、上記の基本を抑えれば、ブース全体が明るく自然と人が集まる展示ブースとなるでしょう。

本記事の監修者について

竹村 尚久
竹村 尚久SUPER PENGUIN株式会社代表取締役|展示会プロデューサー/デザイナー
兵庫県姫路市生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。一級建築士。1996年4月・五洋建設株式会社入社。2005年6月・インテリアデザイン事務所ディーコンセプトデザインオフィス(現・SUPER PENGUIN株式会社)設立。2006年5月・東京インテリアプランナー協会 理事就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2008年5月・東京インテリアプランナー協会 副会長就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2012年9月東京造形大学 非常勤講師(~2018)

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METHOD/は、当社が日頃ブースのデザインを行っている中で、この手法を用いれば集客に成功する、と実感した手法、実際に集客に成功した手法をとりまとめてお伝えいたします。常に出展者に寄り添い、共に「出展成功」を考える立場だからこそ気が付くこと、展示会ブースを行う立場だからこそ気が付くことをお伝えいたします。