ブースをデザインするということは空間をデザインするということ

はじめにブースを考える上での基本概念についてお話しします。

展示会ブースに限らず、店舗でも美術館でも、そして住宅でも、「空間」には人が入ります。そして、人が入る以上、そこには、その空間をそこにいる人が「どう感じるか」、がとても大事な構成要素になるんですね。

広い空間、狭い空間、温かみのある空間、殺伐とした空間。これらの、その空間に感じる「気持ち」はその空間を構成しているものとその「周辺」の空間によって左右されます。

・・・・・例えば、今皆さんがいる部屋は広いか、狭いか、どちらでしょう?

答えは・・どちらでもあり得ます。

もし、その部屋の前に狭く細く小さな空間が連続してあったなら、その部屋は「広い」と感じるでしょうし、反対に、その部屋の前に体育館のような巨大なホールがあった場合その部屋は狭く小さなものになるでしょう。

空間は、その場所、その時の状況に応じた「気持ち」が大きく影響をします。逆に言うと、その空間を「こう感じさせたい」というものがあるならば、そうすることもできる、ということですね。

家であれ店舗であれ事務所であれ、空間を考える時には、その場を利用する人達が「どう感じてほしいのか」を考えてデザインすることがまずは大事なことになるのです。

来場者の気持ちを考える

さて、このことは展示会ブースでも同じことが言えます。我々のブースをを訪れた人が、その場でどう感じて、どう行動してほしいのか。

それをデザインする、ということが空間をデザインするということであり、ブースをデザインするということなのだと考えています。このことをブースに当てはめた場合、どんなことを考えればいいのでしょう。

そのためにもまずは来場者の気持ちはどんななのかを知らなければいけません。

私がブースをデザインする場合、以下の2つのことをベースに考えるようにしています。

1. 来場者は「つかまりたくない」と思っている、と考える
2. ブースの前を通り過ぎるのは数秒、ブースを見るのは一瞬

つかまりたくない来場者の心理

1は、我々が服を買いに行った時のことを想像すると分かりやすいと思います。

いろいろな店を回りたいときに、全ての店舗でスタッフの方がぴったりくっついてきたら、どうしても不愉快になると思います。できれば、自分が見たいと思う店、見たいと思う商品を自由に見たい、余計な営業を押し付けられるのではないか、といった気持ち。

ブースでも同じです。

何十社も出展している展示会場では、来場者は自分が興味があるところのみ見たいと思っています。だからこそ、興味があるところのみを見たいし、興味があるところだけ声掛けしてほしいと思っている。

そのことを考えると、来場者がいきなりブースの中に入ってくることはなかなかありません。「つかまりたくない」と思っている来場者が「気が付いたら」ブースに入っている、そんなブースである必要があるんですね。

一瞬で来場者に「思わせる」

2について。
通路を歩いていてブースの前を歩いて通り過ぎるのはほんの数秒です。また前後左右に他社ブースがあることを考えると、自社ブースを見るのはほんの一瞬となるでしょう。そのほんの一瞬に来場者に「何かある」と思わせるようにしなければいけない。

このように、来場者の心理を考えた上で、その来場者の方々にどう行動してほしいかを考え、それを空間デザインに反映させること。それが、ブースをデザインする上で、ひいては空間をデザインする上では大切なことになるんですね。

空間をデザインする、ということは、オブジェのような形を考える前に、その空間を利用する人々に期待する行動とその心理を「形」にする、ということなのです。

空間デザインは心理学。

ちょっと堅い言い方かもしれませんが、そこにいる人々の「心」を形作るためのデザインが空間デザインなんですね。

 

Boothdesigned by SUPER PENGUIN INC.

www.superpenguin.jp

本記事の監修者について

竹村 尚久
竹村 尚久SUPER PENGUIN株式会社代表取締役|展示会プロデューサー/デザイナー
兵庫県姫路市生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。一級建築士。1996年4月・五洋建設株式会社入社。2005年6月・インテリアデザイン事務所ディーコンセプトデザインオフィス(現・SUPER PENGUIN株式会社)設立。2006年5月・東京インテリアプランナー協会 理事就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2008年5月・東京インテリアプランナー協会 副会長就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2012年9月東京造形大学 非常勤講師(~2018)

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