展示会の期間が終わって、出展社の方に「集客、どうでしたか?」とお聞きするとよく返ってくる反応があります。
「来る時は来るんだけど、来ない時は全く来なくて波がありますね」
という内容です。

つまり、人が集まってくる時にはどんどん集まってきて大忙しになるんだけど、一旦いなくなるとしばらく閑散とする。そのような意味なのですが、これには以下のような理由があると考えられます。
展示会のブースデザインにおける前提条件の一つに「来場者は基本的につかまりたくない、と考えている」というものがあります。

その観点から考えると、もしブースに一人でも来場者の方が既に見ている(ブース内にいる)場合、又は、既にブースを見ている来場者がそのブースのスタッフと話し込んでいる場合、後から来た来場者はある意味安心して、そのブースを見ようと立寄ることができます。それが重なると、にぎやかに混雑しているブースになる。

しかし、一旦誰もいなくなると、来場者は立ち寄りにくくなる。さらにスタッフが待ち構えるようにブース前に立ち尽くしていると、余計入りにくくなる。だから、しばらく無人の閑散としたブースになってしまう。
というもの。

概ね、このような現象で来場者の波は出来てくる、と考えられます。
では、ブースの集客を成功させるためにはどうするか。

この「波」を失くし、常に「良い状態に保ち続けるための工夫」があればいい、と考えられます。

そこで、重要となる方策が「さくら」を立てる、というもの。
さくら。つまり、スタッフのどなたかが鞄と来場者バッチを持って「客のフリ」をしてブース内を見ているフリをする、というものです。
このように書くとまるで来場者の方を騙しているように感じますが、この場合騙しているのではなく「他の来場者が入りやすいようにしている」という表現が正しいと思います。
当社のスタッフも、ブースの設営が終わって会期が始まると、ブースにお伺いした際には来場者のフリをします。
そうすると、通路を歩いている他の来場者が安心してなのか、同じようにブースに寄ってきてくれるのです。
さくら役になっている我々は、そうして他の来場者が寄ってきてくれると、すっとさりげなく退いていきます。
このようなことを繰り返すと、ブースには常に来場者がいる、という状況になるんですね。

このように、波をなくし、来場者が常に集まっている状況を保ち続けるためには、来場者の方がブースに取り付きやすいように、スタッフの方が良い意味でのさくら役になることがとても有効です。

そして、もう1点。スタッフの立ち方、待ち方にもポイントがあります。
もしブース内に来場者が一人もいなくなったからといって、ブースの前面にスタッフが立ち尽くし、じっと周囲を伺っている、という待ち方は絶対的にNGです。
「動的待機」という言葉がありますが、待つ時には、来場者に威圧感を与えないように、何か作業をしながら、さりげなく待っていることが重要です。そして、一番大事な通路際の展示場所前は必ず空けておくように(スタッフが立たないように)しましょう。
この「さくら役」と「立ち方・待ち方」で、集客は目に見えて変わってきます。

本記事の監修者について

竹村 尚久
竹村 尚久SUPER PENGUIN株式会社代表取締役|展示会プロデューサー/デザイナー
兵庫県姫路市生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。一級建築士。1996年4月・五洋建設株式会社入社。2005年6月・インテリアデザイン事務所ディーコンセプトデザインオフィス(現・SUPER PENGUIN株式会社)設立。2006年5月・東京インテリアプランナー協会 理事就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2008年5月・東京インテリアプランナー協会 副会長就任 / インテリア系展示会IPEC/JAPANTEX実行委員会。2012年9月東京造形大学 非常勤講師(~2018)

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